PRODUCTION NOTE

♯♯『企画編』映画化の告知も詐欺!?

「ドラマの第9話で映画の告知をしたときに、これも詐欺なんじゃないかと思った方も多かったと聞きました。私たちとしては騙す気なんてなかったんですが(笑)」
そう語るのは、他ならぬ主演・ダー子役の長澤まさみ。2018年4月期のCX・連続ドラマ『コンフィデンスマンJP』の映画化が発表されたのは、その言葉どおり第9話『スポーツ編』(6月4日放送)でのこと。TVシリーズの映画化発表はドラマ終了時が多い中、最終回に向けての花火としてラスト前の発表となったが、タイミングが異例だったこともあわせてフェイクと思う視聴者も続出!? しかし本シリーズ自体もかつてない企画で、映画化に関してもドラマ製作時から視野には入れられていた。
もともと本作は、アジアでも人気の高い脚本家・古沢良太のオリジナル作品を基に、日本・中国・韓国で同時に連続ドラマを作っていく史上初のプロジェクトとしてスタート。中国で『コンフィデンスマンCN』、韓国で『コンフィデンスマンKR』の製作が進行しており、日本版も世界82の国と地域で放送・配信されている。その中で、幅広い展開のお祭り企画として考えられていたのが映画版。TVシリーズの放送タイトルにならって、『劇場版』や『THE MOVIE』ではなく『ロマンス編』と銘打たれているが、そのスケールやプロットはこれまでにないもの。シリーズの一遍として楽しめながら、映画ならではの醍醐味にあふれた『コンフィデンスマンJP』が誕生する。


♯♯『キャスティング編』豪華ゲストにサプライズも?!?

まさにある意味では嘘と本当の駆け引きそのものとも言える“恋愛”をテーマに、ダー子たちが痛快で壮大な騙し合いを繰り広げる『ロマンス編』。そのゲストキャラクターにも、ロマンティックにしてスリリングなコンゲームにぴったりの華も実もあるキャストが集まった。
香港マフィアの女帝で、ダー子たちのターゲットとなるラン・リウには竹内結子。アジアンビューティーの存在感と、ひとりの女性としての触れ幅を演じ切れる表現力を求められての起用となった。また天才恋愛詐欺師で、ダー子と因縁を持つジェシーには、今作の監督・田中亮がチーフ演出を務めた『ラスト・シンデレラ』(13年/CX)でもヒロインを騙す青年を演じ、さらに艶にも芝居にも磨きが掛かる三浦春馬。そして連続ドラマ第1話『ゴッドファーザー編』でダー子たちから20億円を騙し取られた、悪徳財団の会長である赤星栄介を演じた江口洋介も同役で再登場。貫禄を見せつけてくれている。
またTVシリーズのファンのお楽しみとして、各話に登場したキャラクターやアイテムが、今回のエピソードに絡んで次々と登場!その後を意外な形で知ることもできる。さらに、第5話『スーパードクター編』ではゲストキャラクターとして山田孝之のサプライズ登場が話題を集めたが、今回も長澤まさみと縁の深い人気俳優が驚きの役柄と扮装で出演!? 騙し合いで悲喜こもごもの楽しさを見せる俳優陣と、その本物の演技力にも注目だ。

♯♯『クランクイン編』始まりはラストシーン!!?

クランクインを迎えたのは、連続ドラマの撮影終了から約3カ月半後の7月19日。ダー子たちが根城としているスイートルームのスタジオセットから始まった。
この部屋は『Gondorff Hotel』というホテルの一室という設定で、よく見ると部屋の各所にはホテルのアメニティグッズが! またダー子のベッド回りには、騙しの勉強と資料に使われたであろう学術書や参考書、駄菓子に各国の雑貨にコンピューターゲーム機、さらに『逃げない恥じない役だたない』なるコミック本も積んであって、さまざまな意味で遊び心満載。動物モチーフの品々や飾りが多いのは、ダー子が動物的ゆえ!?作品同様に現場も楽しいノリであふれていて、初日を迎えての「クランクインです!」の助監督のコールに、一同も「ウォーッ!!」と明るく応じて見せる。セリフをまくし立てて、文字どおり飛び回るダー子役の長澤まさみは段取りから全開で飛ばしていて、その長澤が顔を伸ばして変顔をする芝居をモニターで見たボクちゃん役の東出昌大、リチャード役の小日向文世は、「アゴ、アゴ!」と大爆笑。
実はここで撮影されたのは、今回の騙しを終えてのエピローグで、なんと初日にしてラストシーン。最後から全体の撮影は始まっていたというのも本作ならでは!? 果たして、どんなシーンとなっているのか。冒頭のつかみはもちろん、終わりのこの場面のオチに劇場も現場同様、驚きと笑いと興奮に包まれること間違いなしだ。


♯♯『香港ロケ編』地元民も観光客も騒然!!?

スタジオやロケに加えて、今回は舞台となった香港でも7月29日から実景撮影合わせて10日間にわたって撮影を実施。『トランスフォーマー/ロストエイジ』(14年)にも登場した商業地・鰂魚涌にある海山楼の密集アパート群でダー子たちの滞在先、中心スポット・湾仔のレベニュータワーや九龍のハーバーホテルでダー子とジェシーのシーン、別荘地・浅水港の豪邸でラン・リウ邸を撮影するなど、観光地からツウなスポットまで各所でロケを行っている。キャストとスタッフが苦労したのは、その暑さ!ただでさえ時期的に猛暑なうえに台風の余波で気温が上がり、香港は灼熱。東出昌大はあまりの暑さに1つカットを撮り終えるごとに衣装を脱いでいて、地面に座り込むシーンでは暑さで触れられないため水を撒いていたほど。またジェシーとランがデートシーンで食べるアイスも一瞬で溶けてしまうため、かなりの数が用意された。
さらに歓楽街・廓待の路地で撮影された「コンフィデンスマンの世界へようこそ」と観客に語りかけるシーンでは、直前までゲリラ豪雨だったのが、長澤まさみが現場入りした途端に雨が止み、晴れ女ぶりを発揮!この日は香港ロケ最終日で、同地名物の二階建てのオープントップバスでダー子たちがブルース・リーを気取ってはしゃぐシーンも撮影されている。その出で立ちとテンションに、居合わせた人たちも大注目。ロケということ抜きに、各国の観光客たちも思わずカメラを構えていた。

♯♯『扮装編』それぞれのお気に入りは……!?

連続ドラマでもさまざまな格好を披露したダー子たちだが、映画では長澤まさみは変装含めて24変化。香港で見せる黄色いトラックスーツ姿もそのひとつ。こちらはもちろん、ブルース・リー『死亡遊戯』(78年)の衣装から来ていて、仕草に関しても動画を見て研究する熱の入れよう。さらに香港と言えば、ブルース・リーと並んでもうひとり世界的なカンフーアクションスターがいるが、なんとその人本人(!?)の姿もどこかに……。
また、長澤が人物像としても楽しみにしていたというのが、ダー子の弟子となるモナコ(織田梨沙)とともに扮した占い師姉妹の姉・宮ノ守サクラ子。黒髪ロングの白い出立ち、祈祷のポーズもあるキャラクターで、「スピリチュアル系は好きで自分なりのアイデアもあったので、自信を持ったスピリチュアルな人に見えていたらいいなと思います」と長澤。そのこだわりにも注目だ。
そして東出昌大が今回一番気に入っていると語る自身の変装は「マイケル・ホーですね(笑)」とのことで、どんな見た目のどんな人物なのかは、映画を観てのお楽しみ。さらに予告編にもあったとおり、ボクちゃんは連続ドラマで見せた金髪、ピンク髪に続いて、グリーンの頭にグリーンのつなぎというスタイルも披露。また小日向文世は、「驚きの変装をしているんですが、そこは一発勝負の撮影でもあったので、僕自身も映画が楽しみですね」とコメント。その驚きの変装とは一体!?


♯♯『名演編』監督はリチャード=小日向?!?

コメディとして大いに笑わせてくれながら、一方で嘘や騙しの中に人間の真実が見え隠れして、心を打っても、胸をえぐってもくれるのが本シリーズ。その肝となっているのが、達者なキャスト陣の卓越した芝居だ。
ダー子、ボクちゃん、リチャードのコミカルな掛け合いも言うことなしだが、今回は恋愛がテーマということで、連続ドラマ以上に繊細な感情をのぞかせる場面も、感情を爆発させる場面もあり、「今までにないダー子が見られると思います」と長澤まさみ。ゲストの竹内結子も、“氷姫”と呼ばれていたラン・リウが恋に揺れるようになる様を見事に体現。物思いにふけながら、月明かりの下で夜風に吹かれるカットでは、田中亮監督も「さすがとしか言いようがないです」とコメント。一方で怒り狂う場面では、ゴミ箱を蹴り、雄叫びを上げて暴れる芝居も披露。その迫真の演技には一同が息を呑んだ。
今回はダー子とボクちゃんが、相手に対するお互いの本心を口にする場面も登場。実はこのシーン、その際のボクちゃんの口調をリチャードが真似るという場面が先に撮影されていて、結果、東出は小日向の芝居を踏まえなければいけないことに!東出は、「後ろで小日向さんが見ていて、“もっと足を踏ん張って!”って言っていたんですが、“いや、それは小日向さんがやったやつだから!!”って(笑)」。物語に嘘はあっても、芝居は本物。名演を見逃せない。


♯♯『クランクアップ編』プラス・五十嵐!?!?

約1カ月半の期間を経て、映画『コンフィデンスマンJP』はクランクアップを迎えている。まず、ラン・リウ役の竹内結子が8月14日に都内スタジオでオールアップ。続けてゲスト陣のなかでは、ジェシー役の三浦春馬、赤星栄介役の江口洋介が8月28日に一緒にすべての撮影を終えている。一筋縄ではいかないジェシーを巧みに魅せた三浦は、「また田中(亮監督)さんのもと、芝居ができて感無量です」とあいさつ。そのあとアップした江口も直前まで迫力ある演技を見せながら、三浦のコメントを真似て「田中監督のもと芝居ができて」と周囲と旧知の監督を笑わせつつ、「気持ち良くやらせてもらいました」と締めた。
ダー子役の長澤まさみ、ボクちゃん役の東出昌大、リチャード役の小日向文世は、8月26日にスタジオでオールアップ。香港のゲストハウスのセットで、3人揃って本編すべて終了となった。この日、モナコ役の織田梨沙、五十嵐役の小手伸也も一緒にアップを迎えていて、長澤はひとりひとりと握手しながら、小手を飛ばすお茶目なおふざけも! セットにキャスト・スタッフ一同揃っての記念写真では、長澤の提案で「いがらし~」の「し~」のタイミングで撮影。五十嵐の愛されぶりも伝わるクランクアップとなった。このあと長澤、東出、小日向の鼎談コメント録りも行われ、そこでも劇中さながら(それ以上!?)の掛け合いを見せていた3人。その現場の楽しさは映画からも伝わるはずだ。
【撮影期間:2018年7月19日~8月30日】