長澤 今回の『英雄編』はお話が展開していくうえでそれぞれの目線のパートに分かれていて、ダー子目線、ボクちゃん目線、リチャード目線、あと〇〇目線……ってそこはちょっと言えないですが(笑)、いろんな方向からの見方があるんですよね。そこはぜひ楽しみにしていてほしいところです。あと楽しみと言えば、やっぱりキャラクター。また今回もなかなかな人たちが登場して、もちろんお馴染みのメンバーも出ているので、そこは見どころですね。やっぱりお祭り感っていうのがこの作品の醍醐味だと思うんですが、『コンフィデンスマンJP』シリーズを見続けてる人にとっては今までとちょっと違うアプローチの仕方にもなっているので、興味深く楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
小日向 古沢(良太)さんの脚本には、毎回驚かされるよね。
東出 今までもそうなんですが、今回もゲストが瀬戸康史くん、城田優くん、生田絵梨花さん、松重豊さん、角野卓造さんととにかく豪華ですよね。しかもそれぞれ特殊な役職だったり、特殊なスキルだったりを存分に発揮して、誰が騙し合いに勝利して本当の英雄になるのかという中で、皆さん非常に魅力的だったり、現場でつい噴き出してしまうほど面白かったり、バチッと決まってカッコ良かったりっていうのがあったので、壮大な世界観になっているなって印象を受けました。
小日向 今回は警察との対峙もあって、僕としてはインターポールのマルセル真梨邑がとても新鮮でしたね。真梨邑はとても若いんだけれど、いろんな国の言葉を操る優秀でしたたかな男という印象で、瀬戸くんがかなり手ごわい人物像を演じられていて。でも瀬戸くん自身はものすごく目がくりっとしていて、童顔でとにかくかわいらしい顔してるんですよね。そのギャップがまたよくて面白かったです。
東出 瀬戸くんは大変だったろうなと思います。フランス語や英語のセリフもあって。でも外国語のセリフや、あとブルーのスーツとブルーの目の色、すべてが似合っていて、お芝居もすごく素敵だから真梨邑がすごく印象的なキャラクターになったというか、『英雄編』の背骨になったと思います。
長澤 瀬戸さんとは初めてご一緒させていただいたんですが、本当に温厚で、ビシッとお芝居をなさる方だから、真梨邑の威厳みたいなものがすごく感じられて。共演していて、すごく楽しかったです。城田さんもすごく明るい方で、現場を盛り上げてくださって。
小日向 城田くんとは、僕は1回しか絡むシーンがなかったんですよ。
東出 城田さんはすごかったですよ。ゴンザレスという役はずっとスぺイン語で、あと英語もしゃべったりするんですけど、ご自身が語学堪能なので、(田中亮)監督に自発的に「こういう表現にしましょうか?」っておっしゃっていて。城田さんじゃなければ、このゴンザレスという役はできなかったと思います。
長澤 生田さんとも私は初めてだったんですけど、麗奈は突き抜けた明るさがある役どころという中で、ご本人もすごく明るくて接しやすいオープンマインドな方でしたね。
東出 ふたりでお芝居させていただく機会が結構あったんですが、監督がこうしてああしてって演出をされると、そこでパッパッと切り替えてやられていて、非常に器用というか、瞬発力のすごい方だなと思って拝見してました。
小日向 生田さんご本人は清楚な感じの方なので、魔性の女の麗奈とは全然イメージが違うからどんな風になるんだって思っていたんですよ。そうしたら、見事に大変身してましたからね。やっぱり俳優ってすごいなって。自分もそのひとりではあるけれど、俳優ってこんなに化けるんだってあらためて思わされました。
長澤 松重さんとは『プロポーズ大作戦』(07年/CX)というドラマ以来の共演で、久しぶりにご一緒できて嬉しかったですが、今回はコワモテ風な役柄ですからね。その感じが後半に連れて “おっと!?” っていう印象になっていって、イメージがどんな風に変わるのか楽しみです。私も共演しながら側で見ていて、すごく刺激があって楽しかったですね。
小日向 松重くんは昔からの付き合いなので、一緒に居てホッとしたなぁ(笑)。
東出 警視庁の刑事という役どころで、言ったら銭形のとっつぁんみたいな雰囲気もあるんですが、眼光の鋭さだったり、声量だったり、とにかく迫力と緊張感があってカッコ良かったです。あと、圧倒されたといえば、角野さん。僕は初めて共演させていただいたんですが、三代目ツチノコとボクちゃんのシーンを撮る前にコヒ(小日向)さんが、「楽しみにしていて。すごく素敵だから」っておっしゃっていたんです。実際ご一緒して、ちょっとずつ芝居を変えながら細かな演出に応える機敏さや、静かなシーンでも感じさせる迫力が素晴らしくて、コヒさんが言われるとおり本当に素敵な時間が流れてました。
長澤 それを前に出してくるわけではないのに、角野さんがいると安心感がありますよね。
小日向 少なくとも今回、出演者の中で唯一の年上が角野さんなんですよ。大先輩ですからね。小劇場の出身という意味でも角野さんは大先輩で、撮影の合間に舞台の大変さの話なんかもして、同じ畑っていう感じがしますね。
長澤 皆さん本当にお芝居も素敵で、楽しい方たちばかりでした。ただ『コンフィデンスマンJP』はセリフが多いから、ゲストの方たちは大変ですよね。私たちよりも多いくらい。
小日向 ゲストの方も大変だけれど、セリフ量が圧倒的に多いのはダー子でしょう。
東出 そうそう、僕らはまだダー子よりはセリフ量が少なくて、テンションも低いですからね。ハジけ切ったダー子を演じる長澤さんのお芝居は本当すごいです。すごいプラス細かくて、現場に来てから探るとかではなく、完璧に準備して作ってこられていて。そこから微調整していくんですが、もちろんセリフも完璧なんです。オサカナ発表を『ザ・ベストテン』の黒柳徹子さん風にやるシーン(『運勢編』)なんてすごかったですからね(笑)。
長澤 いやいやいや。でもやりましたね(笑)。
東出 仕草なんかも取り入れて現場でバシッとなさっているので、すごいなと思います。
小日向 ドラマのときにハジけ始めたなっていうのはありましたね。そのうえでちょっとしたテレビのギャグやものまねはちゃんと自分の中で何度も繰り返し練習してるなって。
長澤 練習……しますよ、それは(笑)。
東出 恥ずかしいじゃないですか、そういうことバラしちゃうと(笑)。
長澤 全然、平気(笑)。私、練習しないとできないから……。
小日向 たぶんそれはスコンとはまらないと面白さが成立しないって分かってるから、ちゃんと練習して、何度でもやるんだよね。
東出 「(サンシャイン池崎の)空前絶後のぉ~!」(『運勢編』)も面白かったです(笑)。
長澤 あれはすごく難しかったです(笑)。でも今回もそうでしたけど、時間が空いてもパッとすぐにダー子自体には戻ることができて。
小日向 そうなんだよね。すぐに戻れる。特にリチャードは衣裳もだいたい一緒ですからね(笑)。ボクちゃんもだいたい……。
東出 一緒、一緒(笑)。取り戻すみたいな感覚はないですね。
小日向 実はリチャードの掛けているメガネって、僕が役と関係なく個人的に作っていたメガネだったんですよ。最初の衣裳合わせのときにつけてみたら、それがいいってことになって。終わるといつもうちに持って帰るんだけど、あのメガネは結構強烈でね、あれを掛けるとリチャードになっちゃうんだよね(笑)。
長澤 確かに! 縁なしのメガネですよね。印象的だもん。
小日向 だからあのメガネ掛けて、蝶ネクタイしたら、すぐにもうリチャード。
東出 僕も今日台本をもらったとしても、明日にはボクちゃんができる気がします。
小日向 本当だよね。5年もやってるんだもんね。
長澤 ダー子も大丈夫です。変装部分はちょっと時間ほしいかもしれないですが(笑)。
小日向 今回の撮影も楽しかったよね。何が楽しいって、やっぱり楽屋(笑)。みんなのおしゃべりしてるのを聞いているのが楽しくて、そこにモナコ(織田梨沙)が入って……。
東出 モナコ、面白いですね!(笑)
小日向 彼女のしゃべりがめちゃくちゃおかしくて、それでみんな爆笑して。あと、小手(伸也)くんが必ずいじられるんですよ。特にダー子に(笑)。それを僕たちが面白がってワイワイやってるんだけど、まさみちゃんがまたすごく嬉しそうにいじってるんだよね。
東出 長澤さんもそうだし、小手さんもすごい嬉しそうにリアクションしていて(笑)。
長澤 小手さんがほしがるので応えてるだけですからね(笑)。
小日向 本当、面白いなぁ。でもこれも『コンフィデンスマンJP』だからだよね。ほかの現場で会っていたら、こんなに話すようにはならなかったかもしれない。
長澤 ドラマの最初のときにコヒさんが私たちに砕けて接してくれたので、割とすぐ3人の距離感は近くなりましたよね。
小日向 僕はいつもまさみちゃんや東出くんと同世代のような気分でいるんですよ。ちょっとでも仲間外れにされたりすると、“なんだよ~!”って(笑)。
東出 仲間外れになんてしないですよ!(笑)
小日向 だけど、なんか疎外感を感じるときがあって(笑)。
東出 確かにコヒさんが現場にいて、僕が楽屋でバトラー役のマイケル(・キダ)が淹れてくれたコーヒーを「これ美味しい」って言って飲んでたら、「何、何、何!?」って(笑)。
小日向 そんなこともあったなぁ(笑)。まさみちゃんとは『マスカレード・ホテル』(19年)『マスカレード・ナイト』(21年)でも一緒だったけれど、そのときともお互いまた全然違うからね。
長澤 役自体、違い過ぎますからね。特に『マスカレード~』は真逆で、すごくシリアスな人の役でミステリーなので。私自身、楽しいのは好きなんですけど、『コンフィデンスマンJP』は明るくないといけないし。ダー子は明るい人ですからヘトヘトになってますよ、毎回(笑)。
小日向 現時点では『英雄編』の完成したものはまだ観れてないですが、自分の出ていないシーンも結構あるのですごく楽しみです。
長澤 自分の出ていないところで言うと、私はコヒさんと広末(涼子)さんが絡んでいるシーンを見たいです。今回は前回と違って、シリアスな感じなんですよね。違うリチャードの一面があるみたいなので、それが楽しみ。
小日向 波子さんとのところもそうだけど、今まで見たことがないリチャードの感じが一番出ているのは、ボクちゃんとふたりのシーンだよね。
東出 あぁ、もう序盤からそうですね。
長澤 そこも楽しみです。やっぱり気になるのは、自分がいないシーンですよね。ボクちゃんとリチャードのふたりがどういう風に仕掛けてくるんだろうって。どういう風に撮影していたのかっていうのも知らないから。
東出 今回、マルタ島を舞台にきれいなところで撮影しているので、それを観るのもすごく楽しみなんですが、物語のクライマックスというのか、中終盤というのか、みんなの動きの大きなうねりとなるシーンがあるんです。撮影もすごく時間を掛けていて。
長澤 ホテルのシーンですよね。大変でした。
東出 すごいカメラ位置で豪華な画がババババーッと続いて、あそこの大きなうねりっていうのは映画的にドーンとアガるところだと思うので、一連を観るのが楽しみです。
小日向 マルタ島を引き画で撮っているところは、たぶんすごいきれいだろうなと思います。それを僕自身、ぜひ映画館のスクリーンで観たいですね。今回もお客さんの皆さんは見事に騙されると思います。本当にまた新鮮な感じでご覧になれると思いますので、ぜひ公開を楽しみにしていてほしいですね。観て絶対に損はないです!
東出 詐欺師と警察組織が対決したり、詐欺師同士で騙し合って争い合ったり、非常にスペクタクルな物語になってますよね。僕も台本を一読したときは、まんまと騙されました(笑)。『コンフィデンスマンJP』を好きな方も、これから『コンフィデンスマンJP』の世界に足を踏み入れる方々もぜひ楽しみにお待ちください。
長澤 コンフィデンスマンたちが今回もいろんなことをやってます。どんなことをしてくれるんだろうっていうワクワク感を持ちながら、皆さん映画館でこの作品を観ることになると思います。結構みんなで頑張りました(笑)。きっと満足してくれる作品になっていると思いますので、待っていてください。



©2022「コンフィデンスマンJP」製作委員会